SKKを使っている人にGoogle日本語入力への乗り換えを勧めてみる.

大学の研究室ではじめてLinuxに触れてから今まで,日本語入力にはSKK(Simple Kana to Kanji conversion program)を使い続けていた.SKKは非常に癖の強い入力方式だけど,クロスプラットフォームで動作し,また変換モードからユーザ辞書登録モードへのシームレスな遷移など,慣れたら離れられなくなる魅力をもっていると思う.

そんなSKKをもう5年近く使い続けてきたけど,最近になってGoogle日本語入力に乗り換えた.以前にも乗り換えを検討して,そのときは確かショートカットの設定が面倒か何かの理由でSKKに戻ってきたんだけど,改めて真面目に乗り換えを行ってみると,これが思ってたより全然しっくりくる.ので,自分と同じようにSKK使いだけどちょっと他のIMEに乗り換えてみようって考えている人に乗り換えを勧める理由を列挙してみた.マニアックだ.

SKKのほうが遅い

SKKの入力方法は特殊だ.初めて使う人はどうしてこんな面倒なことしなくちゃいけないのって思って,すぐに元のMS-IMEなりことえりに帰っていくんだと思う.けど,SKKを使い込んでいくうちに独特の入力方法に慣れて,普通のIMEで文字を入力するのとあまりかわらないスピードで文字入力ができるようになる.けど,スムーズに入力できるようになったと考えていても,やはりSKKのほうが文字の区切りを考えたり,シフトキーと他のキーの同時押しが必要だったりで,文字入力にかける負担は大きい.

以前,タイピングアプリで普通のIMEを使っている人二人(自分と業種や経験はほぼ同じくらい)と競争してみたところ,明らかに僕だけタイピングのスピードが遅かった.もちろん単なる器用さの差だって言えなくもないけど,最近Google日本語入力をつかっていると,以前よりも入力速度が早くなったように思う.

SKKだと単語単位に思考が限定され,スムースな文書になりにくい.

これもまた主観的な記述だが,僕はGoogle日本語入力に乗り換えてから以前よりもスムーズに文書が書けるようになったと思う.よく,話し言葉と書き言葉とは違って,話すように書くというのは正しい表現じゃないといわれるが,人が文書を書くときには,ある程度は口でしゃべるような一定の長さのフレーズを考えて,それを文書に起こしているのだと思う.SKKは単語ごとに入力して確定していくという仕組み上,どうもその文書の区切りが必要以上に細かな単位になってしまっているような気がしてならない.単語ごとに文書を組み立てていくため,一息にえいやっと文書を書いてしまうことができず,結果として,できた文書は妙に単語ごとにごつごつした,スムーズさが足りない文書になっていたような気がする.いや,そういって書いている今の文書もじゅうぶんよみにくい自覚はあるのだけど,それでもあとから読み直したときに感じる不自然さが減ったと思う.

小指のだるさが軽減される

SKKEmacsで使っていると,左手小指の利用頻度がハンパなくなる.結果として小指の筋力がついてめでたしめでたしって話でもいいんだけど,やっぱり長文を打つようになるとどんどん手がだるくなってきてしんどい.普段使っているキーボードはHappy Hacking Keyboard ProとApple Wireless Keyboardで,どっちもキーボードとそこそこいいものだと思うけど,長時間使っていると同じ症状がでる.小指は消耗品です.

Google日本語入力クロスプラットフォーム

これまでもATOKはWin, OSX, Linuxで動作したけど,フリーでクロスプラットフォームな日本語入力メソッドで,じゅうぶん実用的なものってなかなかなかったと思う.Google日本語入力は,Linuxでは使えないけどWinとMacで同じように使える.

じゅうぶんに高精度な日本語変換

SKKは入力時にかなの区切りをユーザに明示的に入力してもらうことで,高精度な変換ができる.今まで普通のIMEだとこの予測精度の高さは得られないものだと思い込んでたけど,Google日本語入力は今まで使っていて変換のお馬鹿さにイライラしたみたいな経験がほとんどない.ある技術が単純に以前よりもうまくやれるようになっただけで使い勝手が一変する,わかりやすい例だと思う.

↑←↓→〜

SKKを使っていて地味に便利で,SKK使いの自慢(だと思う)なのが↑←↓→〜(それぞれzj, zh, zk, zl, z-で変換).Google日本語入力ではデフォルトで実装されています.